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ROCKの喉を作る!

二井原の経験則による

“ROCKの喉を作るVoice Training CD 解説:その1

● はじめに

1981年21歳でロック歌手としてプロデビューした頃にはhiGが楽に出せませた。
しかしながらデビュー1年後にはその
hiGが見事に出なくなり、その後の長い過酷なツアーや不摂生やら無茶な歌い方などが原因でどんどんハイトーンが出なくなり、デビュー15年後にはhiGのオクターブ下のmid2Gと言う音ですら出ないと言う状態にまでなりました。まさに喉が瀕死の状態だったわけです。
これから紹介するVoice Trainingは、40歳にして20歳の頃出していたhiGと言う高音を蘇らせ、瀕死の喉を救ってくれたVoice Trainingです。
これは、僕が毎日やっているVoice Training で「喉の筋トレ」です。

● このVoice Training CDが出来るまで

声が出なくなって悩んでいた頃、藁にもすがる思いで発声理論&トレーニングの本やDVDをオタクかコレクター並みに買い漁り、読み更けり、巷にある様々なヴォイストレーニングを実践吟味していくうちに、特に効果が顕著な幾つかのヴォイストレーニング法に出会いました。しかしながら、それらの多くがベルカント歌唱法、つまり声楽家のための発声法でした。
このCDのエクササイズは、ロック(Pop&Soul)の声の為の発声練習法を作り上げる為、伝統的オーソドックな基本発声練習を踏襲し、練習メニューを再構築して出来上がった、まさに僕の経験則に基づいて完成させたプログラムです。
このプログラムは少なくとも僕には絶大なる効果をもたらしました。
とは言っても、このトレーニングはあくまで歌える喉を作ることが目的です。
筋トレだけでスポーツは巧くならないのと同じで、ヴォイストレーニングと共に歌の練習はしっかりして下さいね。

● ロックの声

声楽の発声法は確かに強力ですが、いかんせん声楽のままの声ではロックではあまり使えないと言う現実があります。
要するに、ベルカント歌唱法の究極の響きとは、パバロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスのような喉を絞めて歌わない(喉声で無い)響きなのですが、僕が歌っているようなヘビーメタルやハードロック、或いはロック/ポップボーカル全般、演歌、民謡、ゴスペル、ブルース、ソウル、京劇、等等は喉声をも多用する響きなのです。
一般的に喉声は悪い歌い方と言われます。
たしかに喉を絞めまくりガナってばかりいては喉を痛めます、それは論外ですが、逆に喉声を使っていないロックシンガーは皆無なのです。

もし喉声がダメな歌い方であるなら、ほぼ100%のロックシンガーはダメな歌い方と言うことになります。
例えば、ロックボーカルの神Dioあれ、ハイトーンが真骨頂のマイク・マティアビッチであれ、トニー・ハーネルであれ、みなあらゆる場面で喉声を巧く混ぜながら歌っています。
所謂、シャウトやロック声とは正当な発声の声に喉を絞り出した喉声の成分を絶妙にバランス良く混ぜる発声法であり、そのブレンドが無ければ格好良いシャウトやロック声にならないのです。
素晴らしいロックシャウターはその絞り出した喉声と正当な発声とのバランス処理が抜群に巧いわけです。その絞り出した喉声成分がロックっぽい声を作る大事な要素であり、ロック声と声楽の声の大きな違いはそこにあると言えます。

● 発声と内喉頭筋群

声は非常に込み入った発声のメカニズムを経て発声されます。
その中でも、三重大学教育学部の弓場徹助教授は『内喉頭筋群が「歌う筋肉」の鍵』と言っています。
内喉頭筋とは、声帯を引っ張ったり、声門を閉じたり開いたり、声帯の動きをコントロールしている喉の筋肉ことです。

内喉頭筋群;
声帯筋・・・地声
声帯靭帯・・・裏声
声帯縁辺筋・・・裏声と地声を繋ぐブレイク領域
閉鎖筋(側筋と横筋)・・・声帯を閉じる
開大筋・・・声帯を開く
輪状甲状筋・・・自力で働けない声帯靭帯を引き延ばして音程調整

その沢山ある内喉頭筋郡の中でも、特に注目すべき筋肉は輪状甲状筋と言われています。
弓場徹助教授は「歌をうまく歌えない原因は輪状甲状筋の訓練不足である」と言っています。
輪状甲状筋とは声帯を引きのばす筋肉で、低い声を出す時に声帯を縮め、高い声を出す時は声帯を前後にのばします。
輪状甲状筋がうまく働かなければ、音域やら音程やらがうまく機能しないと言うことです。
この輪状甲状筋は足や腕などの筋肉同様、鍛えなければ成長せず衰えてしまいます。
要するに、歌に必要なこの内喉頭筋と言われる喉の筋肉を鍛えれば歌うための喉を作ることが可能になるということです。
とは言っても、咽喉内部の筋肉収縮や声帯を直接、随意にコントロールするのは不可能であり、ましてやそこを直接意識的に鍛えるのは殆ど不可能なので、ある特定の発声練習をすることによって間接的に喉の筋肉を鍛えあげるのが自然です。

声区(レジスター)
スムーズに低い所から高い声を出せるようにするには、まず自分の声区を良く知ることが大事です。
では声区とはなんでしょうか?
人には3つの声区があると言われています。

1チェストヴォイス; 一番低い所や普段喋っている時の声で、胸に手をつけて低い音の声を出すと振動を感じます。
(平均的に男性low F〜mid2 E, 女性mid1 F 〜hi A

2ヘッドヴォイス;頭声とも呼ばれる声でファルセットの一種です。
僕のハイトーンが所謂ヘッドヴォイスといわれるものです。
(平均的に男性hi B〜 女性hi E〜

3ミドルヴォイス(Mixed Voice);チェストヴォイスとファルセットを混ぜた感覚の声です。
音域を見てもらえば分かるようにまさにロックの為の声と言えます。
(平均的に男性mid2EhiB, 女性hiBhiF

ちなみに、声区の概念は様々あり、その呼ばれ方も色々あります。
例えば、チェストヴォイスは他にも表声、胸声、地声・・・とも呼ばれます。
ファルセットは他にも裏声、仮声、・・・とも呼ばれます。

*このCDの発声トレーニングはそれぞれの3つの声区を鍛え上げ、確実に力まずに一定のボリュームで低い音から高い音まで出せるようにします。

● ミドルヴォイス(Mixed Voice
多くの発声本の説明では、チェストヴォイスの最高音を超えると、ファルセットの声区に移るとあります。
しかしながら、ファルセットだけの声ではパワーやローの成分が足りませんし、特にロックだと迫力に欠けます。そこで出てくるのがこのミドルヴォイス(Mixed Voiceという声です。
ミドルヴォイス(Mixed Voice)とは、ファルセットの声区に移った時にひっくり返るポイントが現れますが、そこでひっくり返り裏声にならないで、チェストヴォイスの声質のままスムーズにヘッドヴォイスまで繋げるまでの声と考えれば分かりやすいでしょう。
感覚的にはファルセットにチェストヴォイスの成分を混ぜた声の感じです
ここでもう一度、チェストヴォイスとファルセットで主に働く筋肉を確認します。
チェストヴォイスは声帯を閉じる役目をする閉鎖筋が活躍し、ファルセットでは輪状甲状筋が活躍します。
ファルセットは声帯靭帯の働きで発声しますが、声帯靭帯は自力では動かないので輪状甲状筋が声帯靭帯を引き延ばし音程の調整をします。
ミドルヴォイス(Mixed Voice)は閉鎖筋輪状甲状筋の二つの筋肉が同時にバランスよく働いている状態と考えられます。
従って、普段の会話などで充分活躍している閉鎖筋に負けないように、普段あまり使わない輪状甲状筋をしっかり鍛え上げる必要があります。
輪状甲状筋はファルセットを出すことによってしっかり鍛えられます。
ちなみに、ミドルヴォイスの状態を解剖学的に説明すると、声帯を半分ほど閉めている状態らしいのですが、意識して声帯を半分閉めたりなんてコントロールするのは非常に困難です、従って、ミドルヴォイスはあくまで発声練習で感覚的に習得するしか方法は無いと言えます。
CDの発声トレーニングメニューで、ファルセットとチェストヴォイスをそれぞれ強化しバランスを調整し、チェストヴォイスとファルセットを融合する感じ(コツ)をつかみ、声がひっくり返ったりしないでスムーズに低い音から高い音まで歌える最強のミドルヴォイス(Mixed Voice)を作りましょう。

ヒント!
ファルセットトレーニングの時はあごを少し引き、無駄にあごや眉を動かさないこと。どこにも無駄に力を入れないで、音量を一定に保つ。
あごや顔が動いてしまう人は、あごを少し下げ気味にして、人差し指に力を入れないであごに添え、あごが動かないように常に意識しながら歌うと良いでしょう。

“ROCKの喉を作るVoice Training CD 解説続く→

● トレーニングを始める前に、常に気にして欲しい事柄

1 発声練習をする時は特にあごやのどなどに力を入れず、絶対に無理に声を出さないでください。
口は大きく開けすぎない、息も吸いすぎない、お腹も意識的に膨らましたりへこませたりしないでください。
呼吸は的確な発声が身につけばおのずと理想的な呼吸になります。
呼吸を訓練して発声ではなく、発声を身につけてで呼吸法を身につけると言う発想です。
(呼吸法を学ぶことが先か、発声を学ぶことが先かは、卵が先か鶏が先かに似ています。
人によっては呼吸法を学ぶことが先だと主張する人もいますが、未だ決定的な答えが出ていないようです。
僕は正しく発声法が身につけばおのずと呼吸法は理想的な姿になっていると思っています。
寝ているときやリラックスしている時など、日常の殆どの時間人は自然に腹式呼吸をしています。
逆に胸式呼吸って運動後以外やってる?病気の時ならいざしらず・・・・
殊更、呼吸を意識するってむしろ不自然な気がします。)
このエクササイズのすべての発声練習時の基本フォームは、普段おしゃべりをしている、お話をしている時の「どこにも力みの無い状態」です。
発声時は何処も力んでいないかを常に意識して、あごや喉、体全体がリラックスした状態で発声するように心がけてください。
又、声のボリュームを一定に保つこと、高音になってもなるべく一定の音量で歌う「こつ」を見つけてください。
力んで叫ばないと高音が出ないと言うのは発声練習では理想的ではありません。
高音で芯のある響きで声量が増すと言うことと、大声で力んで叫ぶこととは別です、気をつけてください。

2 室温の水(水道水)をたっぷり用意してちょくちょく水分補給をしてください。

3 エクササイズの僕の声は、ハスキーで歪んだ声ですがこれは病気ではありません。
変声期からずっとこの声で30年以上生きてきて、いわば僕にとっての健康的で普通の状態なのです。
むやみやたらと僕の声質を真似るのは危険ですので注意して下さい。
いきなり声を歪ませると喉を傷つけるので用心してください。
当然ながら、まったく歪んだ声を出せない人もいます、そう言う人は絶対に無理に歪んだ声は出さないでください。
又、歪んだ声が自分の声のスタイルと違うと思う場合は当然やる必要はありません。

4 トレーニング中や後、喉が痛くなったり、声がかすれたり、苦痛になったらやめてください。何かしら間違った発声になっています。
仮に痛みがある場合は、痛みが引くまで練習をしないこと。
又,数日たっても痛みや声が出しにくい場合は手遅れになる前に即病院へ行って下さい。
声を潰して声を強くするともよく言われますが、僕はそのような方法はあまりお勧めできません。

5 繰り返します、このトレーニングはあくまで歌える喉を作ることが目的です。
筋トレだけでスポーツは巧くならないのと同じで、歌の練習はしっかりして下さい。


ロック喉を維持するVoice Training CD !!

(カラオケ;スタジオ音源収録♪)

僕が毎日やっているトレーニングそのままパッケージ!
これで強靭な喉を作ろう!


“ROCKの喉を作るVoice Training CD 解説続く→


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